日米欧三極のテールリスク
毎年末、金融機関やシンクタンクから実現可能性の低そうなシナリオ(いわゆる「ブラックスワン」)に関する様々な予想が公表され耳目を集める。しかし、「可能性が低い」という一点だけにこだわると何でも言えてしまい、何より「面白ければいい」という方向に流れがちでもある。
本稿では、地域を日米欧に絞り、筆者が最も注目するものを1つずつ(計3つ)列挙してみたい。想定される発生確率は予想主体によって異なるものだから、これをブラックスワンと呼ぶかどうかは受け止める者次第だろう。
その意味で「ブラックスワンというには実現可能性が高そうだが、サブシナリオとしてメインシナリオの脇に置くには実現可能性が低い」という微妙な位置づけのリスク(いわゆる「グレースワン」)も存在する。「可能性が低そうなリスク」という意味では、包括的に「テールリスク」とまとめてしまった方が、誤解が少なそうだ。いずれにせよ、「〇〇ショック」と呼ばれるようなものは想定外の事象から勃発するのだから、師走に行う頭の体操としては有意義な試みと思われる。
結論から言えば、米国は「米中貿易戦争の完全停戦とその真逆のシナリオである完全決裂」、欧州は「欧州中央銀行(ECB)の量的緩和再開」、日本は「日銀の利上げ」に思索を巡らせてみたい。