新幹線vs飛行機に影響を及ぼす
「市街地と空港の距離」

 そこでJR東海とJR西日本は、2003年10月のダイヤ改正で「のぞみ」に自由席を新設の上、本数を大増発して「のぞみ」中心の運行形態へと抜本的な転換を図ったのである。

 その結果、東京~広島間は概ね毎時3本の「のぞみ」が運行されることになり、ここから新幹線の反撃が始まった。鉄道シェアは2003年度を底に上昇に転じ、2009年度に50%を回復すると、2016年度には60%を突破し、過去最高のシェアを獲得するまでになった。所要時間4時間以内であれば新幹線は航空機に勝負を挑み、シェアを奪還することができる、こうした成功体験が「4時間の壁」の神話をつくり出したというわけだ。

 だがこれは普遍的な法則であるとは言い難い。というのは、広島空港は広島市の市街地から直線距離で40kmほど離れた三原市にあり、空港から市街地まで連絡バスで50分程度を要する特殊な条件下にあるからだ。待ち時間も含めたトータルの所要時間は3時間40分前後で、新幹線と大差ない。

 そうなれば、運行本数が圧倒的に多く、乗り換えの必要がない新幹線の方が有利になってくる。他の「4時間」区間の鉄道シェアを比較してみると、京阪神~鹿児島は24%(2017年度)、東京~函館は35%(2016年度)といずれも航空機が優位に立っており、拮抗しているとは言い難い状況である。

 鹿児島空港は鹿児島市街まで直線距離で約20km、バスで40分の立地にあるものの、出発地の伊丹空港が市街地から近いため、トータルの所要時間は新幹線より40分程度短くなる。またそれぞれ2便ずつではあるが、関西国際空港と神戸空港から直行便が設定されており、大阪南部や神戸から利用しやすいことも要因だろう。

 函館については、函館空港が函館市街から20分程度の近さにあるのに対し、新幹線の新函館北斗駅は函館市の隣町北斗市にあり、函館駅へは連絡列車でさらに20分がかかってしまう。トータルの所要時間では航空機の方が1時間ほど早く到着するのだから、鉄道シェア35%という数字はむしろ健闘していると言えるだろう。

 もっとも35%という数字は新幹線開業翌年の数字であり、開業効果を差し引けば、現在は30%を割り込んでいる可能性が高い。