来店客対応に力を注げないなら
セルフレジの方がマシである

 書店業務は立ち仕事で、意外に重労働、人手不足の影響を真っ先に受けているという。来店客対応にエネルギーを注ぐ余地もなければ人手も足りないということであれば、設備投資は必要になるが、スーパーなどで導入しはじめている、セルフレジにした方がまだよい。機械音とはいえ、「ありがとうございました」という音声が流れるからだ。

 繰り返すが、本人にそのつもりが全くなかったとしても、また、経営者がそのように意図していなかったとしても、受付カウンターの店員全員がマスクをして対応しているということは、「顧客と明瞭に会話するつもりはありません」「顧客ににらんでいるように思われても構いません」「顧客に配慮していません」というメッセ―ジが伝わってしまうのだ。

 先入観を持つまいと自戒してはいるが、同書店では、入り口のすぐ左に大きな掲示板が設置されており、「お客さまの声」が張り出されている。顧客の声を尊重するという姿勢を表しているに違いない。しかし、掲示されている内容は、8月に寄せられた顧客の声だ。

 経営者にそのつもりがなくても、顧客に伝わるメッセージは、「顧客の声をまじめに取り上げていません」「取り上げるまでに4ヵ月近くかかる、対応が遅い組織です」というものになってしまうのだ。わが国を代表する書店の旗艦店の顧客対応がこれでは、業界全体を危惧してしまう。それとも、Amazon相手に厳しい戦いを強いられている書店に、このようなこまやかな顧客対応マインドを期待すること自体が、無理な話なのだろうか。