メルセデスの「つながる機能」にみる、トヨタとの根本的な違い撮影:中尾真二

メルセデスベンツがAクラスに搭載した「MBUX」。対話型のAIエージェントだ。車両の捜査やカーナビ、コネクテッド機能などを音声によって設定することができる。Amazon Echoのようなスマートスピーカーの車載版で、AI本体はクラウド上にあり、単なる音声認識から進化した「エージェント」に近い機能を実現している。

今回は、MBUXをレビューするとともに、そこから見えてきたダイムラーグループの次世代車両や、トヨタとの比較から伺えるMaaS(Mobility as a Service)市場へのアプローチについてまとめる。

自然言語処理の片鱗を見せるMBUX

 まずは、MBUXの特徴から確認していく。MBUXが画期的なのは、「車両の操作」も音声で可能にしたことだ。カーナビ設定以外、ラジオ等AVシステムの操作、エアコンやシートヒーター、照明なども「ハイ、メルセデス」で操作可能だ。画面や操作パネルに注視しないで済む分、安全ともいえる。誤認識などの問題はあるが、他社の車載エージェントも含めて、音声操作が可能な範囲は段階的に広がる途上にあり、新しいMBUXの音声操作の対応範囲は当然広い。