健康経営に成功する企業は、
初歩的なことから始めている
経済産業省と東京証券取引所が2015年に定めた「健康経営銘柄」は1業種につき、たった1企業。健康経営を企業イメージの向上につなげることができたリーディングカンパニーはもちろん、健康経営に取り組むこと自体が企業ブランドを構築する大切なピースになると感じる時代になりました。
栄養士として企業研修などのお仕事をいただき、健康経営などに取り組む担当の方とお話をする際、必ずといっていいほど聞かれるのが「他の企業ではどんな取り組みをしていますか?」というもの。健康経営といっても、具体的にはどんなことをしているのか、見えにくいものですよね。
私自身、他ではどのようなサービスがあるのだろうと思い、昨年は企業の担当者の方が参加するような健康経営の勉強会に参加する機会を増やし、同じ健康へのアプローチでも、睡眠などの栄養とは異なる分野から勉強したり、引き出しを多く持とうと意識したりした年でもありました。
それは、もちろんお客様のニーズに応えるためでもありますが、少し俯瞰して、健康経営をいろいろな角度から見てみたかったのです。いまや、健康経営そのものがひとつのビジネスになっていてサービスも多岐にわたりますし、そのコンテンツも玉石混交。人気のサービスだけれど、同じ分野の研修業をしている方から聞く評価はあまり高くない…なんていうものもありましたが、実際に受けてみると、人気の(社員の方の参加率が高いなど)理由がわかります。
学ぶ側になって改めて思ったのは、「とにかく興味を持った」「個人が気付きを得やすい」「アクションにつながりやすい」「ひとつでも心と頭に残ることがあった」「誰かに教えたくなる」というような、初めの一歩的なことが健康経営を進めていく上では大事だということでした。
健康はとても重要なものですが、社員の誰でも興味があるものではないですよね。そうしたことを踏まえると、中身の濃さよりも、まずは参加への意欲を掻き立てるようなテーマが必要で、健康経営の担当の方にも、ぜひ実際にセミナーなどを受講する機会を増やしたり、気になる講師に研修の相談をしたりして、ご自身も「おもしろい」と思えるような企画をしていただきたいな、と思います。