同日発表の非農業部門雇用者数が、市場予想を上回る前月比31万2000人増となったこともあり、4日、7日、8日とニューヨークダウは連騰、日経平均株価も2万円台を回復、円は109円台まで下落した。米中が次官級の貿易協議を7日に開始し、関税引き上げ回避に向けた進展への期待が高まったこともプラスに作用した。

 市場の乱高下は取りあえず収まったようだ。しかし、急落を引き起こした要因が変わっていないことを見落としてはいけない。

 アップルショックの主因となった中国経済の停滞は続きそうだ。

 2018年12月の中国の製造業PMI(購買担当者景気指数)は、国家統計局、財新発表の双方が景気拡大・悪化の判断の分かれ目の50を割り込んだ。企業の購買担当者に景況感についてアンケートを取り作成されるPMIは、景気の先行指標だ。中国経済の先行きは楽観できない。

 景気刺激策として中国の政策当局は、所得税減税を打ち出した。しかし、中国で所得税を支払っているのは、全体の数パーセントにすぎない。

 4日には中央銀行が、預金残高に応じて銀行に強制的に積ませる預金の比率である預金準備率を引き下げ、融資を増やすよう促す施策を講じた。18年の年初からは4度目の引き下げだが、今のところ経済の減速傾向に歯止めをかけることはできていないのが現実だ。

市場が好材料視する米国雇用者数増は
景気に遅行する指標

 市場は、米国の非農業部門雇用者数の大幅増加を、米国経済の堅調さと捉えたようだが、雇用は景気に対して遅行する。つまり、数カ月から半年前の景気の状況を表している。経営者は、景気の良さを実感し、雇用を増やすからだ。