小松政夫さん小松政夫(こまつ・まさお)/1942年、福岡県博多生まれ。日本喜劇人協会会長(第10代)。植木等の付き人を経て、芸能界デビュー。「笑って!笑って!!60分」や「みごろ!たべごろ!笑いごろ!!」では、伊東四朗とのコンビで一世を風靡。2016年にはCD「親父の名字で生きてます」をリリース。「もうちょっと歌い込んで、紅白を目指さないとね」。著書に『時代とフザケた男』『昭和と師弟愛 植木等と歩いた43年』など。3月30日から福岡・博多座で博多華丸主演の舞台「めんたいぴりり」に出演 (撮影/写真部・大野洋介)

 人生に「if」はありませんが、著名人に、人生の岐路に立ち返ってもらう「もう一つの自分史」。今回はコメディアンの小松政夫さんです。オヤジさんと慕う植木等さんの存在は、芸人としての師匠を超えたものだったと振り返ります。

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 クルマのセールスマンをしていた21歳のときです。ビアホールに置いてあった雑誌を開くと、求人広告が目に留まったんです。

「植木等の付き人兼運転手募集。やる気があるなら、面倒見るョ~~」

「これだ!」と思いましたね。絶好の茶箪笥、いやチャンス。大草原に四つ葉のクローバーが、ほら摘んでくださいと言わんばかりにピョーンと立っているように見えました。

 あの雑誌を手に取らなかったら、今ごろ何をやっていたんでしょうね。もしほかの芸能人の付き人募集だったら、応募してないでしょうね。