孟晩舟氏Photo:Reuters

 過去10年以上にわたり、孟晩舟氏(46)は華為技術(ファーウェイ)を世界最大の通信機器メーカーへと変貌させるため、少なくとも7つのパスポートを使い分け世界中を縦横に動き回ってきた。同時に、投資家や銀行家、各国政府に対し、ファーウェイが信頼できる企業であるとの安心感を与えようと努めてきた。

 しかし、ファーウェイの最高財務責任者(CFO)であり、人前に姿を見せない同社創業者の娘である孟氏は、12月1日にバンクーバー空港に降り立った瞬間から、世界を舞台に展開される苦しい戦いの矢面に立つ人物となった。

 孟氏は、香港発のキャセイパシフィック航空便から降り立った直後に、米当局の依頼を受けたカナダ当局によって逮捕された。保釈後、同氏はバンクーバーにある高級な2軒の自宅のうちの1軒で生活している。常に監視下に置かれ、午後11時から午前6時までの外出を禁止された状態にあり、米国への引き渡しを待っている。引き渡し手続きは遅々としたものになるとみられている。米国では対イラン制裁にファーウェイが違反したとして、銀行をだました疑いで裁判にかけられる見通しだ。同氏はこれらの容疑を否認している。

 孟氏の逮捕後、ファーウェイに対する世界の圧力は強まっている。ファーウェイは以前から、米国で厳しい監視の目にさらされていた。米当局は、ファーウェイの通信機器が米国民に対するスパイ行為に使われる可能性があるとの懸念から、自国の主要ネットワークへのファーウェイ製品の使用を実質的に禁止している。ファーウェイ側はこうした疑念を強く否定している。