住友化学は、10年以上続けた「事業ポートフォリオ改革」の結果、2017年度はコア営業利益2626億円のうち、大型汎用品は36%、高付加価値品は64%となり、過去最高益を出した。さらなる課題は何か。 (「週刊ダイヤモンド」編集部 池冨 仁)

 社長就任後、8回目となる「年頭の挨拶」だったが、とりわけ2019年は格別な思いを込めたであろう。

 1月7日、住友化学の十倉雅和社長は、こう宣言した。「今年4月にスタートする新中期経営計画(19~21年度)では、経営理念にある“技術を基盤とした新しい価値創造”、すなわちイノベーションを通じて社会課題を解決し、持続可能な社会の実現に貢献することを基本方針とする予定だ」。

 業績の低迷が続いた11年4月にトップとなった十倉社長は、国内外における生産体制の見直しを含む大規模構造改革(事業ポートフォリオの組み替え)を余儀なくされた。17年度の連結決算は、原油価格の上昇と製品市況の好転で、11年ぶりにコア営業利益と純利益が過去最高を更新した(図1)。

 伸び率では、連結売上高は2兆1905億円(前年度比13.0%増)。持ち分法投資利益などを加えたコア営業利益は2626億円(同42.3%増)、純利益は1337億円(同74.8%増)となる。