トップダウンとボトムアップの
両方が大事だと考えている

──カサノバさんの経営スタイルは「ボトムアップ型」と聞きます。

カサノバ トップダウンとボトムアップの両方が大事だと思っているんです。戦略は経営陣が立てますが、客と向き合うのは全国約2900店で働く従業員。彼らからの声を集め、反映しています。その仕組みとして、消費者により近いところで物事を決断するため「地区本部制」を導入し、フランチャイジーへの権限委譲も進めています。

──「トップダウン型」の効率経営が特徴的だった原田泳幸社長時代とは正反対ですね。

カサノバ 原田さんの経営スタイルとは違いますが、当時はあのスタイルが求められていたのではないでしょうか。今大切なのは、従業員が持つ力を解き放つこと。何が快適かはお客さま一人ひとり違う。お客さまが何を求めているか的確に判断する力が求められています。

──人手不足が顕著となっていますが、人材を確保できていますか。

カサノバ 人手不足の店舗もありますが、全体として人は足りています。いずれにせよ今後も人材への投資を加速させていく。例えばクルー教育のデジタル化を進め、紙の教材からタブレット式に変えた。指導者が隣にいなくても動画やゲームを使って一人でも学べるので、生産性や効率性が上がります。

──他のアルバイトなどと比べて、決して時給が高いわけではないのにもかかわらずですか。

カサノバ マクドナルドで働く理由はたくさんあります。子育てを終えた主婦もいれば、接客を学びたいという若者もいる。マクドナルドには「ハンバーガー大学」という人材育成機関もあります。そうした施策の結果、クルーの満足度調査で昨年は84%が満足している結果が出ました。だから、時給だけではないんです。大変喜ばしいことで、今後は満足度はもっと上げていきたいと考えています。

── 一方で新規出店は進んでいません。

カサノバ 私たちが優先したのは、既存店での店舗体験を改善すること。そのためにまずは既存店の改装に注力しました。この店舗改装に終わりはなく、最低でも全店の90%は常に改装した状況を維持したい。既存店と新店のどちらだけをやるというわけではなく、良いバランスで成長を持続させることが重要だと考えています。