“朝活”という言葉がもてはやされるようになって数年。その延長からか、現在、「読書会」や「勉強会」といったイベントが、全国各地で花盛りである。仲間内のごく少数で愉しむものから、百人単位で行なわれる大規模なものまで、その形態は実に様々だ。
人々が「読書会」や「勉強会」に参加する理由も多岐に渡る。自身のスキルアップはもちろん、“初対面の人との出会いや交流”を求める声も多い。だが、一方で、「忙しくてなかなか参加できない」「見ず知らずの人の前に出向くのは億劫」という理由から、敷居が高いと感じている向きも多いのではないだろうか。
そこで注目したいのが、株式会社スクーの運営する「schoo WEB-campus」というサービスである。「schoo WEB-campus」では、様々な分野のスペシャリストの講義を、現在週に一度、生中継で配信している。受講生は、会場での受講(先着25名)、あるいはウェブでの受講(先着2000名)のいずれかの方法を選択。一講義はおよそ30分だ。
「schoo WEB-campus」の興味深い点は、「1つのことを皆で考える」ということを重視しているところだ。講師陣はIT企業などのトップランナーや、様々なジャンルで新たな価値を創造しようとしているイノベーターたちである。だがその内容は、講師が手がける事業の説明や、起業ノウハウの開陳といったことではない。常に「○○とは何か」というシンプルかつ本質的なテーマに対して、受講生と共に考えることに主眼が置かれているのである。
「あらゆる年齢、性別、職業の人たちが“授業”というコンテンツを通過することによって、意見を交換し、何がしかのインテリジェンスを形成していくことを目指しています。eラーニングではなく、サービスを受けることによって得られる高揚感などは、『2ちゃんねる』や『ニコニコ動画』のようなものに近いかもしれません」(株式会社スクーの中西孝之・取締役副社長)
「schoo WEB-campus」では、受講だけに留まらず、自らの考えを発信することや、他の受講生の「リアクション」を見ることができる。さらに、そのリアクションに対してコメントを付け合うことも可能だ。受講生同士のコミュニケーションを通じて、自身の考えをさらにブラッシュアップ。その上で“自分なりの答え”を導き出すことがゴールとなる。5月7日に公開された機能改善では、リアクションに対するコメントへのアラート機能が実装され、より活発な意見交換を手助けしてくれるようになった。
たとえば、先日開催された「エクスペリエンスとは何か」という授業では、講師に「ソウ・エクスペリエンス」の西村琢氏を招聘。“体験ギフト”という新しいサービスを手がける西村氏の考える“体験論”を踏まえた上で、受講生たちは自分なりに“体験”の定義づけを行なった。
講義では毎回宿題が課せられるのだが、この日の宿題は「あなたにとっての過去最高の体験と過去最低の体験は? そしてそこから学んだことは?」というもの。宿題を通じてのアウトプットが、授業内容の定着だけでなく、他の受講生とのコミュニケーションのきっかけともなる。
自由闊達に議論を交わすことのできる「schoo WEB-campus」の雰囲気は、小さなカフェで行なわれる「読書会」や「勉強会」に近い。かつて、哲学者のユルゲン・ハーバーマスは、市民の公共圏の場として“コーヒーハウス”の重要性を説いた。
「schoo WEB-campus」は、ネットに生まれた現代の“コーヒーハウス”とも言える。職種や年齢、性別などのボーダーを超えて、ぜひここで知的好奇心を満たしてみてはいかがだろう。
(中島 駆/5時から作家塾(R))