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「デジタルへの意識を変える」を
組織的に成し遂げる最善の方法

内山悟志[ITR会長/エグゼクティブ・アナリスト]
【第89回】 2019年2月15日
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全社的な意識改革に向けての仕掛けと仕組み

 変革意識の向上および社内全体への拡大に向けた具体的な方策としては、啓発的アプローチ、参加型アプローチ、対話型アプローチの3つのタイプが考えられる(図3)

 啓発的アプローチでは、社内セミナーの開催、イントラネットや社内SNSなどを用いた情報発信、最新技術を知らしめるための勉強会や、ITベンダーによるデモンストレーションの実施などが考えられる。経営者や事業部門スタッフは、日頃から技術動向や先進事例を注視しているわけではなく、AIやIoTが何を実現してくれるかをイメージできないことも多い。

 一方、経営や事業における将来視点の課題認識や目指そうとする未来像は描けており、その実現手段としてデジタル技術に対する漠然とした期待を抱いていることもあるはずだ。アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何物でもないと言われており、啓発的アプローチによってデジタル活用への理解を深めることで、デジタル活用への気付きを喚起する可能性を高めることができるだろう。

出典:ITR

 参加型アプローチは、主に事業部門のスタッフに向けた施策である。社内アイデア公募やワークショップなどを実施して、幅広く参加を招集することで、デジタルイノベーションを自分事として考える機会を提供することが目的である。事業部門では、デジタル技術の活用に対して関心を持っていたり、現場の問題解決における活用シーンを思い付いたりしているものの、日々の業務や短期的な採算の観点から埋もれていることがある。参加型アプローチは、そうした潜在的なニーズを拾い上げることにも役立つだろう。

 対話型アプローチには、デジタル技術の活用に関する社内からの相談を受け付ける窓口を設置するなどの公式な対応に加えて、日頃の非公式な対話の中で、意識付けするなどの取り組みが考えられる。誰に相談すればよいかが分からないといった問題を解消することも重要となるだろう。

 これらに施策に加えて、限定的な範囲での小規模な取り組みの実施、最初の取り組みで得た小さな成功体験(クイックウィン)の社内アピールなどが挙げられ、こうしたの地道な活動の積み重ねが重要となる。

 DXに向けて求められる企業内部の変革は多岐にわたるが、最初に必要となるのが経営層、事業部門などにおける危機感や変革意識であり、これが企業全体の変革への姿勢の基となる。経営者や全従業員の意識を大きく変えることは容易ではなく、そのための仕組みや仕掛けが必要となる。

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内山悟志[ITR会長/エグゼクティブ・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。2019年2月より現職。


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日々進化するIT技術をどうやって経営にいかしていくか。この課題を、独立系ITアナリストが事例を交えて再検証する。クラウド、セキュリティ、仮想化、ビッグデータ、デジタルマーケティング、グローバル業務基盤…。毎回テーマを決め、技術視点でなく経営者の視点で解き明かす。

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