ファンド・オブ・ファンズが本筋

 では、官民ファンドの存在意義はないのかというとそんなことはない。官民ファンドに期待するのは、実はベンチャー企業の振興ではなく、VCファンドの振興だ。

 そもそもベンチャー企業に投資するリスクマネーが少ないという背景から官民ファンドがつくられた。だったらVCファンドに出資し、VCファンドに大いに活躍してもらえばいい。米国では、過去10年ほどの間に500社以上の新しいVCファンドが立ち上がった。日本でも100社くらいのVCファンドが出現してほしい。

 ファンドの組成で一番大変なのは初めて立ち上げるときだ。金融の世界では、トラックレコードのない第1号ファンドには出資しない、という不文律がある。だから、初めてファンドを立ち上げる場合は、個人投資家や事業会社から資金を集めて小さなファンドから始め、投資実績を作ってから第2号の組成をするのが普通だ。

 JICの前身である産業革新機構の投資実績を見てみると、すでに五つのファンドに出資している。中にはトラックレコードのない第1号ファンドもあり、100億円規模の出資をしている例もある。この投資策がJICにも一部反映されていた、とも聞く。

 JICは、リスクの高い新規のファンドにも出資するファンド・オブ・ファンズとして生まれ変わったらいい。そうすれば、日本のVCファンドが活性化し、いずれは世界を揺るがすような企業が生まれてくるに違いない。

*「週刊ダイヤモンド」2019年2月2日号より転載。「シリコンバレーの流儀」は隔週連載です