ところが決勝が始まると、カタールの選手は日本選手のお株を奪うような洗練されたプレーを見せた。スピードはあるし足元の技術も確か。日本は前線からプレスをかけてボールを奪い主導権を握ろうとするが、それをかわして攻撃につなげる巧みさも見せた。そして脅威になったのは、チャンスと見ればどんな体勢からでもシュートを狙う積極性だ。それによって2点を先取し、そのリードを固い守備で守り勝ち切った。カタールのサッカーが短期間で相当レベルアップされたことをうかがわせる試合だった。

未出場国でのW杯開催は史上初
出場と同等の実力に向け強化

 カタールは次回、2022年W杯の開催国だ。これまで大陸別に行われる予選を勝ち抜いてW杯に出場したことがない国が開催国になった例はない(2002年日韓W杯の開催国だった日本も例外になる可能性があったが、その前のフランスW杯に出場を果たした)。カタールはW杯に出場したことは1度もなく、初のW杯未出場の開催国になったわけだ。

 開催国特権で初出場を果たすことになるが、それに甘えているわけにはいかない。W杯出場に値する実力をつけなければと強化に努めており、その過程にあったのがアジアカップ。アジアの頂点に立つことも開催国として恥ずかしくない力を示す勲章のひとつであり、優勝への意気込みも一番強いチームだったといえる。そして実際、選手が披露したプレーから強化は実りつつあることがうかがえた。

 ちなみにカタールの面積は11570平方キロメートルで日本でいえば秋田県(11610平方キロメートル)とほぼ同じ。また人口は約271万人(2018年)で大阪市に近い。考えてみれば、そんな小さな国がW杯開催国になるのはすごいことだ。試合が行われるスタジアムは12で、そのうち9会場が新設。また首都のドーハには半数の6会場が集中している。至近距離に4万人収容規模のスタジアムが林立するわけで、この大会を機にドーハは世界的なサッカー都市になる可能性がある。

 こんなことができるのはカタールがオイルマネーで潤う裕福な国だからだ。2015年の統計だが、1人あたりの国内総生産(GDP)は7万8829ドルで世界5位、同国民総所得(GNI)8万5430ドルで世界2位。潤沢な資金がスタジアムの建設をはじめサッカーの環境整備に注がれている。

 選手の育成・強化にも膨大な資金がつぎ込まれ、才能ある選手は小さな頃から設備の整ったアカデミーで集中的な指導を受ける。また、カタールは移民を積極的に受け入れる国でもあり、外国からも有能な選手を見つけては帰化させるということも行っている。今大会でカタールを優勝に導いたフェリックス・サンチェス監督は世界一の強豪FCバルセロナで育成コーチをしていた経歴を持つが、整った環境に非凡な選手が集まり最高の指導を受けることでカタール代表は急成長を遂げているというわけだ。今後カタールはFIFAランクも上がっていくだろうし、日本代表としてもマークすべき存在になるはずだ。