Photo by Ryo Horiuchi
統合において当初掲げた“対等の精神”は早くも建前に変わり果てた――。
石油元売り業界2位の出光興産は、同4位の昭和シェル石油と4月に経営統合する。1月に明らかになった統合新会社の執行役員や部長級の人事は早速、出光が昭シェルをのみ込むものとなった。
出光と昭シェルは統合交渉で互いに対等合併を求めたが、最終的には株式交換によって昭シェルが出光の子会社になるという“軍門に下る”手法を選んだ。泥沼化していた出光の創業家とのバトルに加え、物言う株主の登場によって経営統合を急いだためである。
名を捨てて実を取ったが、昭シェルの亀岡剛社長は「新会社の取締役、役員についてはフェアな形で選出していく」と語っていた。
見掛け上、対等の精神はほぼ順守された。幹部人事で出光出身者は執行役員29人のうち15人、新設を含む部長級ポスト45人のうち26人。頭数はおよそ半々となった。
しかし、ポストの内訳に歴然と格差が表れた。