横づけされた観光バスからドッと降りてくる観光客。店内はにわかに活気づき、販売スタッフも汗だくになって接客――今や日本でも恒例になった春節商戦が今年も始まった。春節が到来した銀座・数寄屋橋界隈では中国人観光客がにわかに増え、売り場は臨戦態勢に切り替わった。
だが、過去と比べると大きな変化に気づかされる。銀座四丁目の交差点では、すでに“トランク族”が姿を消していた。“ブランド品買いまくり族”も減った。かつては、大量の買い物をしてトランクに詰め込んで歩く中国人観光客が目立った銀座だったが、その光景もどうやら過去のものとなってしまったようだ。
その変化は旅行消費にも表れる。2015年に前年比70%増の高い伸びを見せたものの、その後の伸びは鈍い。観光庁の「訪日外国人消費動向調査」速報値によれば、2018年の訪日外国人客による旅行消費額は4兆5064億円(3119万人)と過去最高を記録したが、前年比の伸び率はわずか2%増にとどまった。
そのうち、訪日中国人客の旅行消費は1兆5370億円(838万人)と、全体の3分の1を超える。日本のインバウンド市場は、中国人観光客による消費に大きく依存していることは周知のとおりであり、その底上げに貢献したのが「代購(代理購入)」だった。