大読書日記
『大読書日記』
鹿島 茂著
(青土社/2015年)

 書評こそ最高の本選びの友。インターネット上の匿名の評価や星の数(の平均値)は参考にならない。プロの書評はレベルが違う。気が合う書き手が見つかったら、その人の書評に目を通す。これが本選びの王道だと心得ている。

 僕のお気に入りは何といっても仏文学者の鹿島茂。2001年から15年間にわたる600ページ超の書評集だ。自分に関心がない分野の本でも面白く読ませるところがすごい。読書の効用の本質を鋭く抉る「まえがき」からして素晴らしい。必読だ。

 他のジャンルと違って、書評の価値の物差しははっきりしている。すなわち、読み手にその本を買わせられるかどうか。読後に、僕は28冊注文した。厳選してもそれだけあった。つくづく当代一流の書評家である。

(一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授 楠木 建)