【必読ポイント!】
◆小嶋千鶴子の人事哲学
◇企業の発展力の確保

 千鶴子は1980年、人事担当者向けに「人事政策覚書」を作成した。本書では14の方針が紹介されているが、この項では「人事政策の基本」「よき風土の維持と浸透」を取り上げる。

 人事政策を策定する上で最初に心しなければならないことは、企業の発展力の確保だ。発展力があれば、人々は自己の能力を発揮する希望をもつことができる。希望をもてれば、多少の不満があっても解消し、未来を向いていられるだろう。この風土が育まれていれば発展力が生まれるが、そうでなければ業績は下がり、不平不満が充満する。

 だから人事政策においては、よき風土を維持し、浸透させることが何よりも重要である。企業の発展力は人にあるのだから、発展のためには、変革を予見し、許容し、積極的に変革に対応する人間集団をつくることが肝要だ。

◇トップとスタッフ

 続いてこの項では、「トップとスタッフ」「社外スタッフの活用」を取り上げる。

 優れたトップとは、優秀なスタッフを持つ者だ。しかもスタッフは、専門性を有しているのは当然のこととして、集団としての統制力がなければならない。虚構性の高い人物は、いくら有能だったとしても、集団のチカラを分裂させることがある。注意しておかなければならない。

 また事業のトップにつける人材は、大胆でも細心であるのが望ましい。用心深さのない人間、甘えの多い人間を長にするのは危険だ。トップに立つ要の人物は用心深く、その周辺の人材は明るいのがベストである。

 環境の変化に対応するためには、絶えず社外スタッフを選定し、活用しなければならない。社外スタッフは、(1)トップの哲学的背骨のための人材、(2)理論武装用人材、(3)新技術導入用人材の3つに分けられる。特に(2)と(3)は革新政策・戦略に関連するものであり、企業の将来を左右するといえる。充分な分析、審議と、長期的かつ根本的影響への配慮が欠かせない。(以上、敬称略)