ところが、思いがけずCTOに「絶対にやめたほうがいい」と猛反対されてしまった。そんなことをやるために会社に入ったんじゃないと思う人がいっぱいいる。だから絶対にやめたほうがいいと。そして、最後にポンと一度手を叩いて締める一丁締めでどうかと提案を受けた。

 一丁締めくらいなら、表現の仕方として誰でもできるし、みんな一生懸命テンションを上げて頑張らなくてもいい。でも、「よし、また頑張ろう」とわりと場もきちんと締まる。そういうわけで、すごくライトではあるけれど、全社集会の締めは一丁締めで決まった。

 自社でのこの出来事をきっかけに、リーダーシップの多様性について、会社として徹底的に考えなくてはいけないと痛感したのだった。

雄弁に語れなくていい
内向的な社員をどう引っ張るか

 ツールと向き合う仕事をしている人たちは、外向的というより、どちらかと言えば内向的な性格であることが多いのではないだろうか。誰かと直接コミュニケーションするよりも、何かを極めたり探求するときにより高いモチベーションを発揮する。こうした人たちを引っ張り、良い影響を与えるには、声が大きくて雄弁であることが必ずしもいい表現方法とは限らない。

 物理的に、強いコミュニケーションをされると「鬱陶しい」とモチベーションが下がる場合もあるはずだ。それなら、内向的な人たちを束ねて引っ張っていくためにどうするか。今後はあらゆる組織でもっとこのテーマを考える必要がありそうだ。そうじゃなければ、優秀な人たちがついてこないだろうから。

 freeeには、物静かだけれどいろいろな角度で表現力を持った人がわりといる。たとえば、社内で非常にリスペクトされているある物静かな社員は、動画をつくらせたらものすごく雄弁に表現することができる。その人がつくった動画を見れば、「この会社はすごい!」と相手は心を揺さぶられるのだ。これはすごく強いリーダーシップではないだろうか。口で雄弁に語るわけではないのに、雄弁に相手に伝わる。こうした状況が生まれているのは、やはり気軽に使える表現方法の選択肢が増えている背景があるからだろう。