1000人以上の経営者へのインタビューを15年近く続けてきた藤沢久美氏がいま、ひしひしと実感していることがある。それは「求められるリーダーシップが変化している」ということ。
それをひと言で表したのが、最新刊のタイトルでもある『最高のリーダーは何もしない』だ。どういうわけか、いま最前線で活躍している優秀なリーダーほど、「リーダーらしい仕事」を何もしていないように見える、と彼女は語る。
その真意とはどこにあるのか?
いま、すべてのリーダーに
「発想転換」が求められている
毎週1人ずつ成長企業のリーダーにお会いし、マンツーマンで徹底的にお話を聞く「経営者インタビュー」を始めて、かれこれ15年近くになりました。
大手企業から中小・ベンチャーまで、業種・業界も千差万別。少なく見積もっても、1000人以上のトップリーダーたちにインタビューしてきた計算になります。
膨大な数のリーダーたちから、さまざまな学びを得てきた私がいま感じているのは、求められるリーダーシップが変化しているということ。
その変化をひと言で表現したのが、「最高のリーダーは何もしない」です。
どういうわけか、いま最前線で活躍している優秀なリーダーほど、リーダーらしい仕事を何もしていないように見えます。
だとすると、これからのリーダーには“ある種の発想転換”が必要ではないか―。
これが、私がお伝えしたいことの出発点です。
「リーダーの話をもっと聞きたい」という私の思いは、自分自身が1人のリーダーとして歩むなかで自然に生まれてきたものです。
私が最初にリーダーになったのは、20代後半のこと。「日本初の投資信託評価会社」を起業し、経営者になりました。小さな所帯ながら1つの会社を切り盛りし、創業から4年後には、同社を世界的格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)に売却しました。