ジム・ロジャーズ氏
ジム・ロジャーズ氏は韓国の未来をどう見ているのか

ウォーレン・バフェット氏、ジョージ・ソロス氏と並び「世界3大投資家」と称されるジム・ロジャーズ氏。彼は、これまで独自の投資眼からリーマンショック、トランプ当選に至るまで、数多くの「予言」を的中させてきた。そんな伝説の投資家は、日本と東アジア経済の未来をどう見るのか。ロジャーズ氏の最新刊『お金の流れで読む日本と世界の未来』から一部を抜粋して、今回はロジャーズ氏が予測する「韓国の未来」を紹介する。

文在寅政権の責任

 韓国も、世界的に見ればまだ開かれていない国である。とりわけ昨今の韓国経済は、官僚的・閉鎖的な経済構造に陥っている。韓国は1997年に起こったアジア通貨危機のさなかも比較的躍動的だったが、そんな20~30年前とは対照的に、いまは少数の財閥に資本と権力が集中している状態だ。韓国の株価指数のうち、実に半数以上が五大財閥(サムスン、SK、ヒュンダイ、LG、ロッテ)に独占されている(下図参照)。

 財閥というのは不思議な存在で、アメリカには1つもない。英語にない概念なので、財閥を意味する「チェボル」という韓国語はそのまま英語にもなっている。

 いわゆる韓国式家族経営企業のことだが、韓国株式の時価総額上位30社のうち、財閥系列ではない会社はたったの五社しかなかった。世界中を見渡しても、これほど少数の企業に資本と権力が集中している例はない。

 文在寅大統領は2017年の就任以来、「韓国経済のパラダイム見直し」との考え方に基づき、「所得主導」と「イノベーション」という2つの軸で成長政策を推し進めようとしている。ただし、果たして効果があるのか、はなはだ疑問だ。

 世界中どの国にもイノベーション促進の政策と目標があるし、どの国もイノベーションと起業を奨励するだろう。「あなたはイノベーションに賛成ですか、反対ですか」と聞けば、どんな政治家も賛成だと言う。

 誰も彼もがイノベーション、と声高に叫ぶが、だから何だというのか。その政治家は何か具体的なことをしているだろうか?