ビジネス的に成功を収めた人から、市井に生きる名もなき人まで、さまざまな分野にいる在日中国人を紹介するDOL特集『隣の中国人“ディープチャイニーズ”たちの肖像』。第13回は、前回に引き続き、さまざまな業態の飲食店を中国40都市で、約300店舗展開する中国最大規模の和食チェーン『大漁グループ』の総帥の丁家順(49歳)を取り上げる。今回は、チェーン拡大のきっかけとなった、ある出来事に迫った。(ライター 根本直樹/取材協力『東方新報』)
新規出店したいが
銀行はカネを貸してくれない
1996年9月、上海でオープンした刺し身居酒屋『海の幸』を皮切りに、その後は鉄板焼き店『大漁』をメーンにさまざまな業態の飲食店を中国全土で展開。創業23年目の現在、300店舗を超える一大飲食チェーンに成長した丁家順が率いる「大漁グループ」だが、その道のりは決して順風満帆なものではなかった。
特に90年代後半の「大漁グループ」草創期は、さまざまな苦難が丁を襲った。丁は語る。