森嶋はほんの数室隔てた会議室に置かれている都市模型を思い浮かべた。
「6年だ」
村津が立ち上がり、部屋にいる全員に向かって言った。
2人の社長の村津に向ける視線が強くなった。森嶋も思わず村津の言葉を疑った。
「これは総理からの提案と考えていいと思う」
「しかし、それではあまりに急ぎすぎです。すぐにでも、建設に取り掛からなければならない」
「きみが言ったように、準備はすでに出来ている」
村津はそうでしょうという風に、森嶋から2人の社長に目を移した。
「私もそれとなく業界には伝えてあります。誰も信じてはいないようですがね。社内では、社長室にプロジェクトチームをおいて進めています。社員たちは、私の道楽と諦めているようです」
室山は余裕を持った言い方をした。
「偉大な道楽ですね。町を一つ造るんです。それも世界に誇れるような」
「私のところも同じです。かなりオープンに話していますが、私は変人扱いです。しかし社内にプロジェクトチームを立ち上げ、わが社なりに新興都市の情報通信網のモデルを作りました。もちろん、新首都にそのまま当てはめることができるものです。話が公になれば、直ちに業界に公表できます」
玉井も淡々とした口調で話している。
森嶋以外の人たちは過去に何回も会合を繰り返して、すでに下地は出来ているのだ。
(つづく)
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