米国や日本の
重要性や依存度は低下

 文大統領が、対日関係の悪化をそれほど気に留めないように見えるのは、南北融和を進めるなかで、安全保障面での日本の重要性が低下したことが影響しているのだろう。

 また韓国の貿易依存度(図表1)を見ても、対中依存度が高まり続けている一方で、米国や日本に対する依存度は下がり続けている。

 対日貿易依存度は1991年の21.8%から2018年には7.5%まで低下しており、こうした安全保障や経済面での日本の存在感の弱まりも、文政権が日韓関係改善に前向きに動かない要因になっている。

 安保外交政策に見られる原則主義は経済政策にも見られる。

 文在寅政権の経済政策は、(1)所得主導成長、(2)革新成長(イノベーションに基づいた成長)、(3)公正な経済(含む財閥改革)の3つの柱から成り、政権発足後、最も力を入れてきたのが所得主導成長だ。

 これは、人々の雇用・所得を増やす(公共部門を中心にした雇用創出、非正規から正規職への転換、最低賃金の引き上げ、労働時間の短縮など実施)一方、生活費の負担を軽減することにより、可処分所得を増大して成長を図る戦略である。

 このために多くの財政資金が福祉・雇用分野に投入され、その財源を確保する目的から、高所得層を対象にした所得税率と大企業に対する法人税率が引き上げられた。

 こうした政策も、軍事政権時代から続く財閥中心の経済体制、成長路線から転換しようという民主化時代の理念にもとづくものだ。