また、野党の追及の「手法」が、国民の支持を得られないと思う。野党が官僚を国会内に呼び出して行う「野党合同ヒアリング」のことだ。今回も、部屋の壁に「勤労統計不正 『賃金偽装』 野党合同ヒアリング」と大きな字で書かれた看板を掲げ、統計不正にかかわった総務省や厚労省の官僚を国会の部屋に呼び、多くの野党議員が次々と厳しい質問を続ける。その様子を、しっかりテレビ局に撮影させて、各局のニュース番組で放送させた(「しんぶん赤旗」)。

 これは、「森友学園問題」(本連載第178回)「加計学園問題」(第158回)などでも行われた野党のお得意の手法で、今回も「お馴染みの光景」がお茶の間に流れたといえる。だが、モリ・カケの時と同様に、いくら官僚を吊るし上げるようなことをしても、野党の支持率はさっぱり上がらない。

 野党の政治家たちは、自分たちの政権が国民の支持を失い、今日に至るまで、国民の信頼を取り戻せない1つの大きな理由が、「官僚と良好な関係を築けず、政権運営に窮してしまった」ことだということを、忘れてしまったのだろうか。「野党合同ヒアリング」の様子をテレビで観た多くの国民は、「やっぱり、官僚と関係を築くことができない。政権を任せるわけにはいかない」と思ってしまうのだ。

 それに、野党の政治家は、政治家と官僚の「権力関係」への配慮がなさすぎるのではないだろうか。政治家は、たとえ野党とはいえ、官僚に対して「権力」を持っている。だから、野党からヒアリングをすると言われれば断れないのだ。その権力を持つ野党が、官僚を並べてテレビカメラの前で罵声を浴びせ続ければ、「パワーハラスメント」が成立する。パワハラに対する国民の見方は非常に厳しい。野党はそのことに対する配慮が足りなさすぎるように思う。

 また、野党が官僚に平気で罵声を浴びせられるのは、官僚が自分たちより上だと思っているからである。実質的に「官僚支配」を認めているということだ。だから、どんなに官僚に罵声を浴びせてもパワハラになると思い至らないのだ。これは、議会制民主主義の野党としては、いただけない姿勢だ。

 議会制民主主義では、政治家が責任を持つべきだ。例えば、英国ではどんな政治課題でも、二大政党制の与党と野党が議会で激しく議論するが、絶対に官僚が表に出てくることはない。もちろん、英国でも裏で官僚が仕切っているということはよくあるのだが、国民の目に見えるところで「政治家主導」という形を崩すことはない。

 日本でも野党は、どんな問題に対しても、官僚を呼び出して非難するのではなく、あくまで政治家の責任を問い続けるべきではないか。その意味で、統計不正について、国会で安倍首相や根本匠厚労相などの責任を徹底的に追及するのはまったく問題はない。むしろ、野党の追及は手緩すぎるくらいである。