西友の売却が再び業界でささやかれている。昨年、旧ドンキホーテホールディングス(現パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス)の大原孝治社長が買収に関心を示して以降、鳴りを潜めているが、売却先としてあの大手の名前が取り沙汰されている。西友の売却はあるのか――。(流通ジャーナリスト 森山真二)
西友の「売却」話が
業界内で再燃した理由
昨年7月に日本経済新聞が報道した「米ウォルマート 西友を売却へ」というニュース。報道直後にウォルマートの幹部は明確に否定し、終わったとみられていたが、あれから約半年。最近、業界で西友の売却話は「まだ生きているようだ」という話を聞くようになった。
売却交渉が水面下でまだ進められているのであれば、日経新聞にニュースが出たころは交渉の最中だったため、売却先に足元を見られたくないウォルマートが火消しに躍起になったということも考えられる。
売却の観測が再び盛り上がっているのは、西友で大きな動きがあったからだ。
1つは新CEOが就任したこと。もう1つは「取引先に対し、取引内容の見直しとも受け取れる提案が西友から示されている」(ある問屋)という。
単にウォルマートの方針変更なのか、はたまた売却先がほぼ固まっていて、そこに合わせて取引内容の見直しなのかということで業界では「売却再燃か」といわれている格好だ。
CEOは昨年の上垣内猛氏の退任以来、1年近く正式なCEOを置かず、空席状態が続いていたが、3月15日で新CEOが就任することになった。
CEOになるリオネル・デスクリー氏はウォルマートの米国や海外事業でマネジメントを経験したというが、39歳と若い。売却にあたって正式なCEOが空席では話にならないし、売却した時を考えて、あえて若手を起用したともいえなくはない。