米国と中国は新たな貿易協定に向けて前進しているように見える。それは、関税が米中経済に与えている打撃からの回復に欠かせない動きだ。だが一方で、ドナルド・トランプ米大統領が通商交渉の一環として、米国法をないがしろにするリスクが浮上している。そのリスクが鮮明になったのは22日、記者団がトランプ氏に対し、米国が貿易協定の一環として中国の華為技術(ファーウェイ)に対する起訴を取り下げる可能性について質問した時のことだ。トランプ氏は「今後2週間ほどの間にその全てを議論する。そして米国の連邦検事や司法長官らと話す」としたうえで、「だが決定はこれからだ。今現在は議論してない」と述べた。ちょっと待って欲しい。連邦検事は貿易交渉の担当者ではない。米国の法律を執行する検察官であり、先月にはファーウェイの孟晩舟・最高財務責任者(CFO)を対イラン制裁違反で起訴している。従業員が米通信会社Tモバイルから技術を盗み出したとの罪でファーウェイも起訴した。米国が貿易協定の一環としてこうした起訴を取り下げるかもしれないとの示唆は、起訴が政治的だとする批判の説得力を高める。ファーウェイと孟氏は不正を否定している。
【社説】米中協議とファーウェイ問題は分けよ
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