eSports文化を日本に定着させるには

 日本国民の多くはスポーツに対して非常に健全な印象を持っており、野球やサッカーのようにプロ選手を目指せるプロ―スポーツはもちろん、アマチュアとして楽しめるスポーツの種類が数多く普及しています。しかし、欧米の先進国と比べるとスポーツ産業の市場規模は大きくありません。日本政府は数年前からこの事実をすでに認識しており、スポーツ産業の規模を2025年までに3倍以上に拡大させる目標を掲げ、スポーツ庁と経済産業省を中心に多くの分野に働きかけを行っています注2

 そこで筆者は、スポーツの国民人気は高いものの、市場規模としては小さいスポーツ産業と、世界トップ3にも入る市場規模を持つゲーム産業をeSportsを通して結びつけることで、それぞれの産業が直面している課題を解決することが可能になるのではと考えています。実際に、サッカー、プロ野球のような一部のプロスポーツ界ではすでにeSportsの将来性に気づき、取り込むためのアクションを起こしています(eJ.Leagueは2018年3月、eBaseball leagueは2018年11月に実施)。バスケットボール、バレーボール、ラグビー等、他のプロ球技種目も今後それらのラインナップに加わっていくのではないかと考えられます。

eSportsは次世代スポーツか、それともゲームのひとつのジャンルか出典:公開情報を基にKPMGコンサルティングにて作成

 特に、日本では2019年から3年間連続で国際的な大規模スポーツイベントが開催される予定です。この機会を活用し、eSportsイベントを並列して行うことで世界へ強力なアピールに加え、国内に向けても効果的なブランディングとなるでしょう。急激な成長をみせているeSports産業が、公式にスポーツと同等な地位を築くことができれば、その波及効果はスポーツビジネス全体としての成長にも影響を及ぼす可能性があります。

 スポーツとeSports、2つの領域が今後持続的に共存する方法を見つけることは大きな課題であり、その課題を解決できるのは、ゲーム産業の大きな市場規模を持つ日本ではないかと考えています。次回以降、ゲーム大国である日本がなぜeSportsに出遅れていってしまったのか、eSports先進国ではどのような方向でeSportsが発展してきたのかを解説します。