その意味で、第2回米朝首脳会談で、トランプ大統領が北朝鮮になにか妥協をしなければならない理由はなかった。昨年以降、北朝鮮のミサイル危機が高まったわけではなく、アメリカファーストの観点からみれば、「ディール」は全く必要ないからだ。

 今回の首脳会談の結果は、意外でも何でもなく、むしろ当然だ。あらためて、トランプ大統領は「アメリカファースト」で行動するのだと、強く認識させられることになったと思う。

トランプ大統領はより大きな
「ディール」を考えているのではないか

 ただ、今回の首脳会談は、これまでのアメリカファーストの説明では、解釈しきれない部分も残っている。

 首脳会談前には、トランプ大統領には、来年に迫った米国大統領選挙に向けて、外交成果を挙げていかなければならないという事情があると指摘されていた。だからトランプ大統領は、「非核化を急いでいるわけではない」など、盛んに北朝鮮にリップサービスをしていたのだ。

 首脳会談で、金正恩委員長が「経済制裁を全面解除してくれ」と、いささか調子に乗りすぎた要求をしてしまったように、「トランプ大統領は非核化を曖昧にして、北朝鮮と何らかの合意をし、米国内向けに外交成果を誇ることになる」と考えていた人は多かったと思う。

 私は、トランプ大統領が、よりスケールの大きな外交成果を得る「ディール」を行うために、今回は北朝鮮の要求を突っぱねて、席を立った可能性があると考える。よりスケールの大きな成果とは、「朝鮮戦争の終結」「在韓米軍撤退」である(第203回)。

北朝鮮国内の核施設を調べ上げて
「完全な非核化」のハードルを上げる

 今回の首脳会談で、米国側は「寧辺の核施設の廃棄では不十分だ」とし、ウラン濃縮施設など、これまでその存在が明らかでなかった、北朝鮮全土に広がっている核開発のための施設を、詳細に調べ上げていることを明らかにした。それに北朝鮮側が驚いた様子だったというのだ。