思えば30年前。私は外務省の朝鮮半島担当課長で、米国の情報当局から北朝鮮の核開発疑惑について聞かされた。北朝鮮は、その後の30年間で紆余曲折もあったが、ほぼ核爆弾の製造に成功し、大陸間弾道ミサイル(ICBM)もかなり完成に近づいたとみられる。
この間、少なくとも2度にわたり核開発の凍結ないし核廃棄についての国際的な合意が成立した。1994年の米朝枠組み合意および2005年の六者会合に関する共同声明だ。しかし、いずれの合意も北朝鮮の核開発を止めることはできなかった。
今回、米国の中間選挙を挟んで2度目の米朝首脳会談が計画されており、再び核放棄に向けた米朝合意に向け動き出しているようにみえる。果たして「3度目の正直」となるのか、その可能性を探ってみよう。
非核化の方法で大きく違った
米朝「シンガポール合意」
まずは、6月のトランプ大統領と金正恩委員長による初の首脳会談でまとめられた「シンガポール合意」の意味を考えてみよう。