堂場 スポーツ庁は作ったものの、スポーツ人口拡大のほうにばかり意識が行っちゃって。

高田 スポーツが及ぼす影響についての知見を持ち、指導できるプロが、行政の側にまだ多くはいらっしゃらない、ということじゃないでしょうか。

野球を超えられないジレンマ

堂場瞬一氏
堂場瞬一・作家
Photo by M.I.

堂場 近年、野球をやる子どもが減って、野球離れが著しいと言われます。スポーツ全体の振興という観点からすれば、特定の競技にこだわらなくてもよさそうなのに、野球界は野球だけを盛り上げたい、サッカー界は優秀な選手は全部こっちに来てほしい。そんな感じで、足並みが揃わない。これから人口も減って行く中で、30年後は大丈夫かなって、ものすごい心配になります。

高田 でもね、野球離れと言いながら、やはりサッカーは野球をなかなか超えられない、というジレンマがあります。例えば、中日に入団した松坂投手が1勝したニュースはゴールデンタイムに10分取り上げられますけど、Jリーグは優勝しても2分しか取り上げてもらえない。となると、行政に求める前に、まずは我々自身が動かねばならないと、実感しています。僕が社長になりたての頃、5000人ちょっとだった観客を2倍にしたいと、テレビの15秒コマーシャルに出て「明日試合があるから来てください」って、かなり流したんですよ。

堂場 それは、ものすごい宣伝効果でしょう。

高田 それでも増えなかった。チーム名の認知度は上がったけど、「頑張ってね!」止まり。10人のグループがいたとして「サッカーの試合行ってますか?」と聞いても、1人もいないとか、そのレベルです。

堂場 どんな競技でも、本当のファン以外の人たちが現場まで観に行くのって、敷居が高いでしょうね。しかし、今まで全然行ったことがない人や、子どもたちが足を運ぶようにならないと、将来のお客さんにつながらないですよね。

高田 はい。それで僕も、ファンを増やす方法をあれこれ考えてきました。

 佐世保では20年以上前から、毎年秋に「YOSAKOIさせぼ祭り」を開催しています。踊り手が170チームほど参加し、25万人のお客さんが集まる大イベントです。僕は3年前から審査委員長をしています。その縁で、よさこいとコラボしてみようと思いついた。踊り手さんたちを招いて、試合前にピッチ上でよさこいを踊ってもらったんです。最初の時はちょうどJ1昇格に向けて戦っていた時期だったので、とても盛り上がりました。

 招待企画も、いろいろ趣向を変えてやっています。長崎には自衛隊の隊員さんが佐世保に数千人、大村市にはもっといて、家族まで含めたらかなりの数になります。じゃあ今度は自衛隊さんとの提携を考えてみようとか。今年は全県から小・中・高生を無料招待する予定もありますし、さまざまな形で検討し、実施しています。

 地道な努力がいるんですけども、招待して3回観てもらったら、コアな層になっていただけるのではと、期待しています。