西武鉄道の新型特急車両001系「Laview(ラビュー)」
最近のデザイナーズ車両の流行は「丸顔」。西武鉄道の新型特急「Laview」は、三次元の曲線ガラスを用いた球面状の先頭部だ 写真提供:西武鉄道(2枚目も同じ)

3月16日に行われた、毎年恒例の春のダイヤ改正。消えゆく列車がある中で、斬新なデザインで人目を引いたのは、西武鉄道の新型特急「Laview」だ。特急電車から始まった車両の「デザイナーズ化」は、徐々に通勤電車にも拡大しつつある。車両デザイン流行の変遷をたどってみよう。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

春のダイヤ改正で注目すべき
西武の“デザイナーズ”特急

 JR各社とJRに接続または直通する鉄道事業者による、毎年恒例の春のダイヤ改正が3月16日に行われた。華やかなデビューを飾る新型車両、新種別の裏側で、役目を終えた列車が人知れず消えていく。春は鉄道にとっても、出合いと別れの季節である。

まるでホテルのラウンジのような客室内。ここでも曲線が意識されている

 今春のダイヤ改正で、ひときわ存在感を放っているのが、西武鉄道の未来を担うフラッグシップトレインとして登場した新型特急車両001系「Laview(ラビュー)」だろう。2004年の不正会計事件から端を発する上場廃止、グループ再編、外資による敵対的TOB騒動を経て経営再建を果たした西武鉄道にとって、新型特急車両の開発は25年ぶりとなる。「いままでに見たことのない新しい特急車両」を目標に、建築界のノーベル賞とも言われるプリツカー賞を受賞した世界的建築家である妹島和世氏のデザイン監修の下に開発は進められた。

 これまでの西武特急を知らない人に対しても「Laview」の新しさは、改めて説明するまでもないだろう。三次元の曲線ガラスを用いた球面状の先頭部、色を排したシンプルなシルバーの車体、ひざ下まで広がる大型ガラスの客室窓、包み込むような黄色い座席。ガラスや曲線を用いて、周囲の環境と調和し開放感ある建築を手掛けてきた妹島氏の世界観がそのまま表現されている。

 興味深いのは、デザイナー選定にあたって西武鉄道は、あえて鉄道車両のデザイン経験がない人を条件にしたことだ。そうしなければ「個性」を発揮できないほど、今の鉄道業界は「デザイナーズブランド」ブームを迎えているからだ。

 草分けとなったのは、JR九州で787系「つばめ」、883系「ソニック」、885系「かもめ」、九州新幹線「800系」などを手掛けたインダストリアルデザイナーの水戸岡鋭治氏だ。

 小田急電鉄は2005年にデビューした50000形「VSE」以降、特急ロマンスカーのデザインに、関西国際空港旅客ターミナルビルなどを手掛けた建築家の岡部憲明氏を起用している。京成電鉄も2010年にデビューした3代目スカイライナー「AE形」の車両デザインに、ファッションデザイナーの山本寛斎氏を起用した。

 近年ではイタリアのデザイン会社・ピニンファリーナでフェラーリのデザインを手掛けた奥山清行氏が、JR東日本の秋田新幹線「E6系」や北陸新幹線「E7系」、クルーズトレイン「TRAIN SUITE 四季島」、東武鉄道500系「リバティ」などを担当している。