ニュージーランド・クライストチャーチのモスクで銃を乱射したとされるブレントン・タラント容疑者が車で現場を去った時、「フェイスブック・ライブ」のライブ配信を見ていたのはわずか10人だったようだ。だが銃撃現場を捉えたその動画は、インターネット上のさまざまな形で数百万回にわたり再生されたとみられる。録画され、他のさまざまな媒体に転載されたからだ。フェイスブックやグーグル傘下のユーチューブは、週末に入ってもなお動画の削除や掲載防止に追われていた。そうした動画を断ち切ることはできない。動画が広範にわたって複製されたことは、ライブ動画配信時代のこうした厳しい現実を浮き彫りにしている。リサーチャーらによると、人工知能(AI)ソフトウエアには配信中の暴力的コンテンツを全て検知する能力はない。そのうえ、簡単に入手できるソフトを使ってオンライン動画を瞬時に録画・複製できる。これは問題の動画が人々のスマートフォンやコンピューターに残っていることを意味し、主要プラットフォームはいったん配信された動画をほとんど制御できないことを示す。