通常、食材の配達サービスの配達人が変わっただけで、わざわざあいさつに来るものではないと思います。ましてや顔を合わせるわけではありませんから、正直誰が届けていてもわからないし、気にしたこともありませんでした。

 ところが今回、配達人があいさつをしてくれたことで、私は今まで利用していた食材が責任を持って運ばれていたことがわかりましたし、何よりとても気持ちのいいあいさつをしていただいたなと感激しました。

 丁寧にしていただけると、こちらも「次の方になっても引き続きお願いしよう」という気持ちになります。市販のスーパーで買うよりも多少割高かもしれませんが、そういう人の気持ちも買わせてもらっているのですから、高い買い物ではありません。食材だけではない、プラスアルファのものを受け取っている感じがしたのです。

 この話をある席で話したところ、同様の経験をしているという声がありました。

 この方は小学生の子どものために、子ども向けの新聞だけを購読しているそうです。毎週1回、月500円程度のその新聞の代金は本来、月末に来る集金の方に支払います。共働きで家を留守にしていることも多いため、半年分まとめて支払っているといいます。ですので、本来集金の方は半年に一度家にくればいいだけ、のはずです。

 しかし、その集金の方は、毎月末に必ず来ています。

 なぜなら新聞の領収書に、

「いつも購読してくださってありがとうございます。今後ともよろしくお願い申し上げます」

 という手書きのふせんをわざわざつけて投函してくれるからです。

 言葉自体は大したものではありません。ところがそのふせんを見ると、なんとも温かな、幸せな気持ちになるといいます。たった月500円程度のその領収書に込められた感謝の気持ちも、一緒に受け取っているからでしょう。この方は「これからも子ども向けの新聞を購読するつもりですし、本紙も購読するかもしれない」と話してくれました。

金銭的なやりとりの後ろに
感謝の気持ちが流れている

 先ほどの2つの話に共通するのは、表面的には金銭的なやり取りではありますが、その裏側には感謝やお礼といった、人の気持ちのやり取りがあるということです。昔からそうだったとは思いますが、こうした気持ちのやり取りはつい見落とされがちです。

 私たちがお金を使う時も同じです。相手に感謝の気持ちを持ってお金を使うことで、そこにお金の循環が生まれると考えています。