イタリアの高級車マセラティは、2016年にフェラーリを分離したフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)にとって希望の星だった。だが、主要市場である中国での需要減退や消費者のセダン離れにより、急速に輝きを失っている。マセラティはFCAのブランドの一つに過ぎないが、一時は熱烈な人気を集めていた。昨年死去したFCAのセルジオ・マルキオンネ前最高経営責任者(CEO)は、グループが大衆ブランドの低迷に苦戦する中で、マセラティに技術の粋を結晶させて技術力を示そうとしていた。マセラティは一時、初のスポーツタイプ多目的車(SUV)など新モデルの発売が奏功し、販売台数と利益は急速に拡大した。米中の自動車市場が活況を呈したことも追い風になった。17年の販売台数は過去最高の5万台に達し、利益率は14%と、FCA全体の2倍に上った。