携帯電話は、どのように我々の生活や常識を変えたのか。携帯電話がなかったときは、人々はどのように過ごしていたのか。平成の時代に移り変わった常識を振り返ってみたい。

みんなどうやって待ち合わせをしていた?

 まず、携帯電話があった時代と、なかった時代で圧倒的に変わったのが「待ち合わせ」の常識である。当たり前だが、携帯電話がなかった時代は、事前に日時と待ち合わせ場所を決めておいたものだ。なかなか相手が現れず、やきもきした経験がある人も多いだろう。待ち合わせ場所に設定したカフェが満席で、やむを得ず入り口で待っていたなんてこともあった。

 しかし、今は違う。待ち合わせ場所を直前にLINEのやりとりで決める場合も多いし、カフェが空いていなければ、連絡して別の場所に設定し直せばいいだけのことである。むしろハチ公前などの定番の待ち合わせ場所は人が多く、余計に不便だったりもする。

 筆者 は、2000年に大学に入学した。前述の総務省の調査で、携帯電話が固定電話の契約数を抜いた年だ。高校生のときまでは、まわりに携帯電話を持っていない友達もかなりの数いたので(たしか、筆者がPHSを持ったのも高校3年生だったと思う)、この待ち合わせには非常に苦労した。デートのお誘いを、家の固定電話にかけ、相手のお母さんと会話する、なんて経験があるのも、筆者の世代が最後なのかもしれない(最近では、告白をLINEですることもあるそうだ)。

 一方、大学に入り、みんなが携帯電話やPHSを持つようになると、少し物足りなさもあった。ガロのヒット曲「学生街の喫茶店」のように、「ここに行けば、誰かがきっといる」溜まり場があって、訳もなくお茶を飲み話す……といったような文化はすでになかった。いつでも連絡が取れるし、固定の待ち合わせ場所を持つ必要がなかったからである。

 週刊ダイヤモンドの記事によると、ファミレスが深夜営業を廃止し始めている背景には、2000年頃からの携帯電話の普及により、深夜に集まる「場所」を提供する必要性が薄れたことが一因だという。実際に深夜の客足は減ってきていて、営業時間の見直しが進んでいる。

 携帯電話の登場は、待ち合わせや「場所」を巡るそれまでの常識を古いものとしたのだ。