地下アイドルの明暗を左右する
事務所のスタンス

 そんな状態でお披露目ライブを迎えたミサキさんたち。地下アイドルのライブは「対バン」と呼ばれる、複数のグループが共演する形式で開催されることが多く、人気グループほど出演が遅くなる場合がほとんどだ。ただし、初ライブの場合は、人気がなくても出番が終盤になることもあるという。

「地下アイドルのお披露目は、知り合いの事務所が主催するライブですることがほとんどです。それでも、無名なグループが最後の方に出演するのは簡単ではありません。私たちは、事務所がどうにかコネと金を駆使してくれて、その日のラストでした。結構な額を払ったんでしょうね。出番までの時間は他のアイドルたちのパフォーマンスを観ていましたが、そこでがく然としましたね。歌も踊りも、天と地ほどの差があったんです。自分たちの出番の時には、出るのが怖くなるほどでした。その日わかったのは、人気があるグループほど事務所のバックアップが手厚く、ちゃんとした指導者のレッスンを受けていること。そんな恵まれたグループはひと握りなんですけどね」

 現実を目の当たりにし、改めて事務所へ指導者をつけてもらえるよう交渉しにいったミサキさんたちだったが、なんと返事は「文句を言う暇があるなら、もっと成長しろ!」という暴論だった。

「『成長しろ!』って言うだけで、そのためのサポートは一切なし。アイドルがどれだけ頑張っても、運営サイドにやる気がなければ上には行けない。地下アイドル業界はそういう世界なんです」

 結局、「この事務所にいても時間の無駄」と感じたミサキさんは、1年間の活動の後、グループを脱退。現在は別の事務所で地下アイドルをしている。

「新しい事務所は、ダンスインストラクターによるレッスンが受けられるんです。スパルタで有名な先生だから、あまりの厳しさに泣いている子もいます。でも私はやりがいもあるし、自分が上達していることも感じられる。もう、別の意味で泣いちゃいそうです(笑)」