日本は漁夫の利を
得る可能性もある

 一方で、日本が“漁夫の利”を得る可能性もある。「ドイツ車は関税がかからないから、日本車よりドイツ車を買おう」と言っていたイギリス人消費者が、「どちらも同じ税率なら日本車を買おう」と言い始めるかもしれないからだ。

 さらには、例えばイギリスが日本と自由貿易協定を締結すれば、イギリス人消費者にとって「輸入関税がドイツ車より日本車の方が安いなら、断然日本車の方がいい」ということになるかもしれない。

他の国々が相次いで離脱し
EUが崩壊するようなことも起きない

 悲観論の好きな評論家の中には、「イギリスが離脱すると、次々まねをして離脱する国が出てきて、EUが崩壊するかもしれない」という人もいそうだが、そうなる可能性は非常に小さい。離脱によってイギリス経済が打撃をこうむれば、それを見た他国が離脱を思いとどまる事はあっても、まねをしようとは思わないからだ。

 もう1つ、より重要なのは、イギリスはユーロを使っていなかったため離脱は容易だが、ユーロを使っている国の離脱は大変だということだ。

 ユーロ圏諸国で対外純資産がマイナスの国にとって、ユーロを使っているメリットは大きい。独自の自国通貨を使っている国が対外債務を抱えていると、返済要請がきたときに猛烈な自国通貨安による諸問題に見舞われかねないからだ。

 対外債務の返済要請が多数寄せられた場合、最初の1件は容易に返済できるが、債務者が返済のために外貨を購入するため、外貨高となる。したがって、2件目の返済を行う債務者は、1件目の債務者よりも苦しい。