マンションの室内最近、タワーマンションの売れ行きが悪くなっている。これからタワマンを買う人が注意すべきポイントを指南する(写真はイメージです) Photo:PIXTA

新築タワマンの売れ行きは
なぜ悪くなっているのか

 最近、タワーマンションの売れ行きが悪い。一般のマンションと比較しても初月契約率が高かったのは今は昔で、逆転現象を起こしている。特に2018年の初月契約率の実績は、一般のマンションの63.8%に対して4.2%低い59.6%と、60%を割り込んでいる。70%が売れ行きの目安と言われているので、かなり悪いことになる。

 こうした現象に至った理由は、第一に立地の悪化が挙げられる。訪日外国人(インバウンド)の増加によるホテル需要は、民泊を規制したがゆえに稼働率が非常に好調で、都心・駅近のまとまった開発用地は、住宅ではなくホテルになることが一般的だ。

 また、ホテルだけでなくオフィス需要も堅調で、この点でも住宅は不利を強いられている。この結果、都心ではホテルやオフィスには小さ過ぎる敷地でのマンションしか供給されていないと言っても、過言ではないほどだ。工場用地の用途転換により湾岸エリアでマンションが供給されることがあっても、さほど良い立地とは言いがたい。

 すでに林立している湾岸エリアでは、物件個別の特徴を見出すのが難しくなっており、購入者側に飽きられている感覚すらある。このため、湾岸であえてタワーではない設計にする物件も見られるようになってきた。「タワーにしておけば売れる」という時代はすでに終わっているのだ。

 タワーマンションの供給が増えたのは、21世紀になってからと最近のことだ。年間供給は2007から09年にかけての3年間が多く、2万3868戸、2万1075戸、1万9139戸で、その年の全供給戸数の39%、48%、53%をタワーが占めるに至っている。この間、リーマンショックを挟んで供給が大幅減少する時代でもあった。6万1021戸、4万3733戸、3万6376戸と総供給戸数は減少したので、タワーの存在感が増している。