算数を学ぶ目的が明確な
子どもは算数が得意になる

 また算数が好きでないお子さまをお持ちの方にも朗報があります。小さい頃は算数が得意でなくても、大人になって得意になった人もいることが分かってきているのです。

 例えば、「東大生が考えた魔法の算数ノート なっとQ~」(小学館)を出版した南部陽介氏は、小中学生の頃の算数・数学の成績はずっと「1」か「2」だったそうです。学校の授業は、決まったことをマニュアル通りにするだけで大嫌いだったとおっしゃっています。当時は公式などは覚えず、ブロックやRPGゲームにはまっていたとのことでした。

 そんな彼が数学を好きになったのは、高校に入ってからだったそうです。一番のきっかけが宇宙を舞台にした米国ドラマ「スタートレック」に夢中になったことでした。宇宙の奥深さの虜になった彼は、将来は宇宙に関する仕事をしようと決意したそうです。それから数学の勉強をスタートし、「数学の美しさ」に感動し、気づいたら今の仕事をしていたとのことでした。

 数学者で著書「AI vs.教科書が読めない子どもたち」(東洋経済情報社)がベストセラーになった国立情報学研究所の新井紀子教授も、小さい頃は数学嫌いだったそうです。彼女はあまりにも数学が嫌いすぎて、大学受験が終わった翌日に数学の教科書を全部燃やしたというエピソードがあります。あるインタビューの中でも「私は計算が苦手な上に、おっちょこちょい。計算間違いが多くて点数が悪かった。中学に入るともっと嫌いになりました」と語っています。しかし、そんな彼女が今では日本を代表する数学者として注目されています(彼女は物事のしくみを理解する方法を学ぶために、数学が有効だと知ってから、好きになったと答えています)。

 つまり、算数を何のために勉強しているのかが明確になっている子どもは、算数が得意になる可能性があります。これまで数学は何のために学ぶのか? という目的が分からない人が多かったかもしれません。しかし最近になって、算数ができると大人になって年収が高くなる傾向があることが分かっています。お子さまにもよろしければ伝えてみてください。