山口洋子の同士の
数奇な運命を追った実話小説

昭和の銀座
Photo:PIXTA

「夜間飛行」という言葉を目にした時、ある人はサン=テグジュペリの『夜間飛行』を、ある人はちあきなおみの「夜間飛行」を、そしてある人は街の一角に佇むバー「夜間飛行」を思い浮かべるかもしれない。本書『夜間飛行』のタイトルは、主人公がずっと身につけていたゲランの香水の名前からヒントを得たものだ。「女性らしさを失うことなく、男性中心の社会でも自分の立場を貫き、冒険的で志のある女性に捧げられた香り」と言われている。

「ビートルズがタラップを降りて来た翌年には、青白い顔にソバカスを散らしたツイッギーがやって来た。」時は昭和40年、女性の色気ある仕草やお客との目配せ、弾む会話に香水の香りなどとともに東京銀座の華々しい世界観を本書は詳細に描き出し、読者はまるで映画を観ているような錯覚に陥る。本書は、銀座が夜の社交場として絶頂期を迎えた当時の最高級クラブ〈姫〉のなかで、オーナー山口洋子の同志として銀座を羽ばたいた女性の数奇な運命を追った、実話小説である。