お祝い金があるとうれしく感じるが
そのお金の出どころは自分

「保険に入るなら、お金が戻ってくる積立型がいいです。5年間何もなかった場合に、お祝い金として15万円もらえるプランが気になっています」(44歳・主婦)

 生命保険には、『健康祝金特約』という特約を付加できる商品がある。契約してから、ある期間、保険金の給付を受けなかった場合、お祝い金がもらえるというものだ。

 何もしなくても、もらえるお金というのは、たしかに大きな魅力かもしれない。しかし、そのお祝い金は契約者が支払う保険料の中に、もともとキャッシュバック用として徴収されている部分が払い戻されているだけなのである。

「自分のお金なのにもらえるとうれしく感じるのは、行動経済学で言うところの、『認知バイアス』が働いているためです。お金が出入りする時期がズレることで、お金のありがたみが違って感じられてしまうのです」

 たとえば、確定申告をして還付金があると、多めに支払った税金が戻ってきただけなのに、まるで臨時収入が入ったような気分になることがないだろうか。お祝い金をうれしく思うのも、それと同じようなことなのだ。

「ある保険会社の人から、3年間ごとに15万円の無事故お祝い金が出る契約では、お祝い金がついていない契約に比べ、保険金の請求が減るという話を聞いたことがあります。『4日間入院したので2万円請求できるけど、請求したら、お祝い金15万円をもらえなくなるから我慢しよう』というわけです」

 もともとお祝い金は、いざという時にまとまった額のお金が給付される保険本来の利点とは無関係だ。不要な特約なのだ。行動経済学から学べるのは「人は損を嫌うあまり、本末転倒な判断をしやすい」ということかもしれない。