4月1日を迎え、今年もあなたの会社に新入社員は入社しただろうか。ここ数年、新卒採用は売り手市場が続いている。そのなかで採用された今年の新入社員には、どのような特徴があり、上司・先輩世代は彼らとどう付き合えばいいのか。『若者のトリセツ』などの著書があり、産労総合研究所が毎年発表する「新入社員のタイプ」の調査や分析を行う「新社会人の採用・育成研究会」のメンバー・岩間夏樹氏に話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 林恭子)
売り手市場で“就活は楽勝”
なぜ今年の新入社員は「AIスピーカー型」か
――2019年度入社の新入社員は、どのようなタイプなのでしょうか?
Photo:DOL
私もメンバーである「新社会人の採用・育成研究会」では、2019年度に入社する新入社員のタイプを「呼びかけ次第のAIスピーカー型」と名付けました。多くの人がAIスピーカーって面白そう、欲しいと興味を持っているその様子が、売り手市場のなかで採用された今年の新入社員ととても似ていると考えたためです。
ただし、AIスピーカーには便利そうだけれど、使いこなすのがなかなか難しいという面もあります。単純に、音楽をかけたり、今日の天気を質問したりするくらいなら問題ありませんが、テレビをつけたり、部屋の明かりをつけたりするのには、他の機器のさまざまな設定や機能の追加が必要で、お金もかかります。同じように今年の新入社員も、上司の側からすると、部下としては若干扱いにくい面があるのではないかと考えています。
リーマンショックをきっかけとしてはじまった第2次就職氷河期は数年前に終わり、新卒学生の就職は一転して売り手市場に変わりました。
就職氷河期の頃は「内定なしで卒業するのではないか」と不安を抱え、血眼になって就活する学生が数多くいました。また入社後も、「とにかく会社の都合に合わせます」というような殊勝なところがあり、辛くても本音を隠す会社への忠実さがありました。
一方で、最近の学生からは「基本的に何とかなるだろう」「内定が取れずに卒業することはないだろう」という楽勝ムードが漂っています。