「生活を大きく変えているか確かめろ」
成長支える孫正義の助言

 1つ目は、「人々の生活を大きく変えているかどうかを確かめなさい。小さな変化しか起こせなければ、他の誰かがやってきて君より大きなインパクトを与えていくだろう」、と。孫さんに何度も言われ、私も意識している助言です。

 もう1つは、私が秘かに言われたことを誇りに思っている言葉です。「自信があるならば、積極的に成長を目指せばよい。だけど、完璧なものを作り上げるために必要な投資ができないならば、それこそがわれわれが長期投資する理由なんだ」。

 ビジョン・ファンドの投資先の企業たちは、この助言を真剣にとらえているように感じていて、長期投資の重要性を意識しています。この助言があったからこそ、われわれはインドで最も急成長し、インド単体での売上高で10億ドルを最速で突破したテックカンパニーになることができたと考えています。売上高が伸びているので企業としての採算も年々改善しており、18年3月期は営業利益率がマイナス40%からマイナス20%へと改善し、19年3月期はマイナス10%まで改善できるでしょう。

 たった1年で4倍のスピードで成長できたのは、孫さんの助言をもとに3~4年前から長期的な視点の投資をしていたからで、今は過去の投資の果実を収穫しているのです。現在の投資は、2~3年先の将来を見据えたもの。だから私は今後の5四半期の結果には自信を持っています。

「企業は今から6四半期先を見すえて投資を行い、5四半期先までの結果はカバンに入っているべきだ」。これも私が先人の起業家たちから学んだことで、これまでの14四半期連続で投資家にアナウンスした通りの業績を積み重ねてきています。

――黒字化はいつですか。

 今はお答えできません。ただ、利益を今出そうとすることは、将来の結果を狭めるでしょう。われわれは強みを強化するために投資を行っており、研究開発への投資を優先しています。最大の投資は1000人以上のソフトウェアエンジニアという、人への投資です。