麻生太郎財務相
インフレ率2%の目標を掲げる日本銀行の金融政策について、「2%にこだわり過ぎるとおかしくなる」と持論を語った麻生太郎財務相 Photo:つのだよしお/アフロ

「賃金や報酬はこの数年で顕著に上昇した。単位当たりの労働コストはインフレを超えて上昇している。それがインフレにつながらない。理論的にはそれは企業のマージンを圧縮し得るため、永久には続かないのだが」

 米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は、3月20日の記者会見でそう語った。米国でも少し前までは賃金上昇ペースが景気回復の割に高まらないといわれてきた。

 しかし、激しい人手不足を反映して、さすがに平均賃金はリーマンショック前の好況期に近い、高い伸びを示すようになってきている。それなのにFRBが重視するインフレ指標は2%を下回った状態がしばらく続きそうなのだ。

 パウエル氏が言うように、その持続性には限界がある。インフレがどこかで加速し始めたり(その場合、FRBは利上げを再開するので金融市場は大騒ぎになる)、米経済の失速とともに賃金の伸びが落ちてきたりする可能性もある。

 ただいずれにしろ、かつてよりも「賃上げ→物価上昇」という関係はシンプルには表れにくくなっている。グローバリゼーションやデジタル革命の影響もあるだろう。

 これは日本銀行にとって、FRB以上に悩ましい話といえる。日銀はインフレ率が2%を安定的に上回るまでマネタリーベースを増加させ続ける(つまり超金融緩和を続ける)と宣言しているからだ。