政策修正の第一歩を
踏み出した日銀だが
2019年は株価急落で幕を開けたが、金融政策は難しいかじ取りを迫られる年になる。
日銀は、「2%物価目標」の実現には時間がかかるという認識を、遅ればせながらではあるが、強めてきた。
昨年4月の展望レポートでは、先行き3年程度の「見通し期間」のうちにはインフレ率が2%に達しない、という見方を初めて示した。
7月には、物価見通しをさらに下方修正し、それに伴う金融緩和の長期化が国債市場に与える悪影響を軽減するため、政策の「微修正」を行った。
現状の金融緩和は「当面の間」続けるとしながら、長期金利の誘導幅を広げて一定の金利上昇を容認し、今後、国債やETF(上場投資信託)の買い入れ減額の可能性があることも示した。
日銀は、2016年の「総括的な検証」以来、異次元緩和策にひたすら突き進むというスタンスから、効果と副作用のバランスを考えながら政策を最適化する、という方針に転換している。昨年7月の「微修正」は、そうした思考基盤に立った政策修正の第一歩だった。