さらに、18歳の女性の着けたアップルウォッチが1分間に190という高すぎる脈拍を検出し、総合病院で診てもらうと、腎臓の両方が2割程度しか機能していない危険な状態だと診断された。もしそのまま気づかずにいたら、腎臓移植が必要な事態に陥っていたかもしれなかった。命が救われた娘の母親は「命を救う素晴らしい製品を作ってくれたアップルに対してこの先ずっと感謝致します」と感謝の手紙をクックCEOに送った。

 アップルウォッチの販売台数は公表していないが、ある専門家によると2018年第1四半期までの累計販売数は約4600万個で累計売上は約164億ドル、出荷台数ではMacシリーズに並んだという。

高齢化社会の救世主となるか

 最新の「アップルウォッチ シリーズ4」には心拍数センサーに加え、FDA(米国食品医薬品局)承認の「心電図計」が搭載され、話題となった。心拍数センサーは、1分間に心臓が拍動する回数を測定するが、心電図は、心臓が血液を送り出す際の収縮や拡張のリズムや間隔、また状態を調べるものだ。

 この2つの検査で、8割程度の確率で心臓病の症状を見つけ出すことができると専門家は言う。なお、日本ではこの心電図計機能は使えない。時代についていけず、既得権を守りたい厚労省はこのような前例のない最新機器の導入には相変わらず後ろ向きだ。

 ところで、アップルウォッチに搭載された「転倒検出機能」は高齢化社会での救いの手となるかもしれない。内蔵したジャイロスコープと加速度センサーの性能をアップさせ、人体の動きをより正確に判別できるようになった。万が一、事故に遭ったり、体調が悪くなって転倒したりして、1分間以上利用者が動かなかった場合、アップルウォッチが自動で緊急電話を発信し、緊急連絡先にメッセージを送ってくれるようになっている。

 例えば不整脈で急に気を失って倒れた場合、周りに人がいなくてもアップルウォッチがあれば緊急対応が可能だ。アップルウォッチは高齢者とその家族に安全と安心をもたらすツールとなり得る。

「オペレーション出身のティム・クックでは、世界を驚かせる製品は生み出せない」と言った専門家もいた。だが、アップルウォッチはジョブズ時代のアップルが手にしていなかった「医療」という領域を開拓する革新的製品となるかもしれない。