三共生興社長 三木秀夫
撮影:瀧本清

──三共生興の主要販売チャネルである百貨店が苦戦。婦人服に至っては25ヵ月連続して前年同月比マイナスだ。

 百貨店市場が前年同月比で15%落ちており、当社の主力ブランドである「DAKS」も2ケタ減。値ごろ感のあるニットなどによってなんとか落ち込みを食い止めているのが現状だ。これほどの不振は今まで経験がない。秋冬ものに期待したいが、先行き不透明どころか、明るい兆しはまったく感じられない。

 ただし、いつまでもこの状態が続くわけがない。政府も景気対策を打ち出すわけだし、消費者の節約疲れも起こる。その来るべき将来に備えを怠らないアパレルこそが生き残る。

──英国のダックス・シンプソン・グループを買収した1991年には、売上高1000億円構想を掲げていた。現在はどうなっているのか。

 現在の連結売上高は428億円だが、むやみに規模を追いかけるつもりはない。あくまで収益重視だ。三共生興は「アコーディオン経営」を目指している。今は、将来、蛇腹を広げるときに向けて我慢をするとき。収益の7割を占める不動産とライセンスという安定収入で持ちこたえる時期で、社員には「無理をして仕事をするな」と言っているぐらいだ。仕事をすれば赤字になるぐらいだったら、黙って嵐が通り過ぎるのを待つほうがいい。