結果を出せない
リーダーが最も罪深い

――現在のエクイティピラミッドはさらに進化しているんですか?

森岡 当時は、徐々にエクイティピラミッドが自分の行動をよい方に導いていくということを体験し、悪い人ではないと思ってくれた人が少しは増えた気がしました。でもそこから先はもう一度、悪い人になろうって思う時代が来ましたね(笑)。もう悪い人でいいじゃないかと。ビジネスでは、結果が出せないナイスな人なんか役に立たないですからね。結果が出せないリーダーは、もう最低限の下ですよ。リーダーとして結果が出せないということは最も罪深いんだということを、私は大失敗して思い知ったんです。結果を出すための方法が悪い人になるしかないんだったら、悪い人になろうと思った。いい人に思われたいとか、嫌われるのは嫌だとかいう気持ちは人間だからあるんですけど、そこに重心を置いたら、やるべきことができなくて、なんとなく妥協してしまうんです。

 このままじゃ勝てないと思ったときに、部下も一生懸命やっているのはわかっているし、これを言うとどういうことになるか、だいたいわかるわけですよ。自分の周りの人や部下を私は大好きなので、大好きな人が嫌がったり、困ったりする顔ってあまり見たくない。そう思っていると、厳しいことが言えないんですね。好かれようなんて思っていたら結果は出せないということをまず知っておくべきです。
だからそういう段階からはだいぶ超越して、今のエクイティピラミッドにはそんなこと一行も書いてないです。「悪い人と思われない」と書いていたことの代わりに、今の私のエクイティピラミッドには、「勇気が湧く」と書いています。この人と一緒にいたらきっと結果が出せる、何かいいことが起こるかもしれないと思ってもらえる人であろうと。そう思ってもらえるまで随分苦しい時間を過ごしてもらわないといけないのですが。周囲の人々に感謝しつつも、結果を出すための高い一線を妥協なく一緒に飛んでもらうことにしています。かけられる方も、かける方も、相当なプレッシャーのかかる話ですが、“プロ”とはそういうものだと思います。喜びもその中にある。

 真面目な話、本当に、本当の話、結果を出さないとダメなんですよ。結果を出さないと、誰も守ることができないから。結果を出さないと、話にならないわけですよ、リーダーは。