『週刊ダイヤモンド』4月13日号の第1特集は「統計学『超』入門」です。毎月勤労統計の不正問題以外でも、政府の基幹統計56のうち26の統計で問題が見つかっています。毎月勤労統計に関連するGDPに影響はなかったのでしょうか。(本記事は特集からの抜粋です)
「先生、政府はたくさんの統計を作っているんですよね。初回の講義のとき、政府の56の基幹統計のうち26の統計で問題が見つかったと言ってましたけど、それ以外の統計は本当に信用できるんですか。」
確かに26の基幹統計で問題が見つかったんだけど、毎月勤労統計以外は、今のところ実際の政策に影響するような問題は見つかっていないみたいだね。だからといって許される話ではないけど。
「毎月勤労統計は、GDPに関連する統計ですね。もしかして、GDPも間違ってたんですか!!」
マナブくん、まあ落ち着いて。毎月勤労統計を基にしている雇用者報酬がGDPの年次推計に使われていて、雇用者報酬は小幅に修正したものの、幸いそれは四半期ベースのGDP推計には影響を与えなかったし、GDPの規模にも影響しなかったんだよ。
いい機会だから、GDPについてあらためて説明しよう。
僕たちは物を買ったり売ったり、いろいろなサービスを利用したりしているよね。他の国とも物やサービスのやりとりをしている。こうした活動で稼いだもうけを一定の期間ごとに国の単位で合計したものが国内総生産、すなわちGDP。国の経済規模を表す代表的な統計だ。経済成長率という言葉を聞いたことがあると思うけど、それはGDPの増加率のことを指している。